人気ブログランキング | 話題のタグを見る

BORG 125SD AF化検証レポート

1. はじめに

天体望遠鏡のAF化の手法は現在のところごく限られています。私のとった手法は「アクロマートAF」と名づけているもので、既存のカメラレンズ(単焦点もしくはズーム)で前玉フォーカスを行っているものから光学系を除去し、AF機構のみを利用して、本来MF作動している天体望遠鏡をAF化するものです。名称は便宜上のもので、技術仕様を規定するものではありません。アクロマートレンズを多用することからそうしたまでです。もちろんアポクロマートレンズを含み、さらにはネガティブアクロマチックレンズ(テレコン、エクステンダーなど)を使う場合もあります。

市販の超望遠カメラレンズのAF機構は、質量の大きい前玉系を動かすのを避けて、前群以外の光学系をフォーカス群とするインナー/リアフォーカス方式(キャノンさんの用語によります)が採用されています。そして、インナーフォーカス方式では凸レンズが使われ、リアフォーカス方式では凹レンズが使われます。ここで「アクロマートAF」との関連で問題なのは、両方式はそれぞれAF駆動アルゴリズムは正反対であって、カメラ側がそれを規定していることです。つまり、上述の前玉フォーカスを行っているカメラレンズを利用するかぎり、カメラ側の規定に従う外なく、そのカメラが位相差検出タイプであれば、フォーカスレンズとしては凸レンズを使うことになり、凹レンズを使うと動作不能となります。コントラスト検出タイプでは原理的に両者に適応します。
以上のことから、「アクロマートAF」は、MF天体望遠鏡に、前玉フォーカスを行っているカメラレンズを組み込んで、天体望遠鏡をインナーフォーカス化しているわけで、この意味では別段に特殊なことをやっているものではありません。

125SDのすぐれた光学的性能については、多くの方々がすでに検証されていますので、私はそれに屋上屋を重ねる任ではなく、手持ちの機材、ソニーさんのα55、を使ってどのようにAF化したかに限定して、結果を報告することとします。基本となるコンセプトは同じですから、他の機材を使った場合も類推していただけるものと思います。また、作業を進めるほうとしても、報告を読んでいただく側にも、直感的に把握し易いと思いますので、市販の超望遠カメラレンズに倣って、「ゴーヨン相当」「ロクヨン相当」「ハチゴロー相当」などという枠組みを設定して報告します。
(添付 Image 1-1.jpg)

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20523136.jpg



2. ゴーヨン相当

125SDの素の仕様は、750mm F6 ですが、これを500mmにReduceしますと、実効F4 となり、まさにゴーヨンで、技術的に問題となることはなく、とくに実施検証はしておりません。


3. ロクヨン相当

この場合は、600mmF4.8となり、おおまかにロクヨン相当といってよく、もっとも汎用性があります。使ったAFユニットはトキナーズーム100-300mmです。超望遠の場合、ほとんど絞り開放で使うことが多いですが、場合によって少し絞ることによって、薄すぎる焦点深度を緩和することができます。これがトキナーでは可能です。
(添付 Image 3-1,2,3,4,5)

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_2053792.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20532671.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20534444.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_2054544.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20542370.jpg



4. ”シチゴロウ”(700mmF5.6)は可能か

”シチゴロウ”と呼ばれるカメラレンズは存在しませんが、125SDで実施、検証してみました。方法としては、私のいう「重畳仕様」で、テレコンでExtendしてレデューサーでReduceするという方法です。具体的には、ボーグテレコン7214とアクロマート250mmを使っています。AFユニットはバックフォーカスの短いSAL85F28を使います。(添付 Image 4-1,2,3 )

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20545324.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20551288.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_2055344.jpg



5. ハチゴロー相当

125SDでこれを行うにはもちろん重畳仕様によりますが、計算上、800mmF6.4となり、位相差AFが不安定となる領域に入ってしまいます。検証は790mmF6.3で行いましたが、この限りではとくに障害はありませんでした。テレコン7214とアクロマート300mmを使いました。
(添付 Image 5-1,2)

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20555711.jpg

BORG 125SD AF化検証レポート_d0174444_20561613.jpg



以上                     2011.06.05 Secnat 記

by achromat_af | 2011-12-27 18:14  

<< アクロマートAFの 可能性 現在のアクロマートAFシステム... >>